財産を処分する上で、本人の意思確認が厳格化されています。
ちょっと前までは、通帳と印鑑さへ持参すればほとんどの銀行で預金をおろすことが出来ました。
近頃は、運転免許証などの本人確認書類の提示を求められることがあります。
不動産の売買も同様です。
数年前までは認知症の親に変わり自宅を売却する書類に記名押印することも普通に行われていました。
認知症が社会問題化し、様々なニュースが報じられるようになり、最近では状況が変わってきています。
金融機関の窓口では、本人確認が出来ない以上預金をおろすことができなくなりました。
不動産の売買においても、本人の意思確認が出来ない場合は取引をすることができなくなりました。
たとえ委任状があったとしても、その委任状すら書いた本人の意思確認をされるケースもあります。
背景にあるのは、たとえば認知症の人を相手に契約をした場合、契約を取り消される可能性があるからです。
認知症と言っても様々な症状があります。
認知症と診断されても、直ちに法律で守られる制限行為能力者となるわけでもありません。
(制限行為能力者として保護されるには家庭裁判所での審判が必要です)
ただ、相手の立場で考えれば、いつ取り消されるかもしれない可能性がある相手と取引なんてしたくないですよね。
認知症を煩うと、相続対策にも大きな影響を及ぼすということです。
自宅などの不動産の処分はもちろん、投資用不動産の購入、預貯金の生前贈与、保険への加入などなど、
一般的に言われている相続対策というものが何一つ出来なくなってしまいます。
問題なのは、認知症はいつ発症するかわからないと言うことです。
家族信託などの制度を利用して、万が一認知症になったときのための準備も必要ですね。
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