特別受益、という言葉があります。
相続の場面ではよく出てくる言葉ですが、3つのケースが考えられます。
①遺贈
遺言によって遺産が与えられるケースです。
遺言は一方的なものですので、遺産を受け取る人の承諾は必要ありません。
被相続人(亡くなられたから)の意思のみで成立します。
②死因贈与
死因贈与は贈与契約の一種ですので、あげますもらいますと、双方の意思が必要です。
③生前贈与
これも正真正銘贈与契約ですので、贈る側ともらう側、双方が納得している必要があります。
遺贈、死因贈与、生前贈与のいずれかにより財産を受け取っていた場合、
相続の場面では特別受益として指摘を受ける場合があります。
生前贈与で結婚資金や事業資金の提供を受けた、
死因贈与で高級外車をもらった、
遺贈により、現金1,000万円をもらったなどなどです。
これらの財産はすでに誰かの手に渡っているわけですが、相続の場面では相続財産の中からもらったものとして計算され、
本来受け取れる相続分から特別受益分を差し引いたものが、その人の相続分となります。
配偶者が居住用不動産の生前贈与を受けるということがありますが、
今までは特別受益のルールに従い、居住用不動産は相続財産の中に戻され相続分が計算されていました。
そのままでは、居住用不動産を受け取った配偶者が現金など、ほかの財産を受け取れなくなり、
結果、その後の生活に困窮するということがしばしば発生していました。
その不都合を解消するためにつくられたのがこの制度です。
婚姻20年以上の夫婦間で生前贈与もしくは遺贈された自宅については、特別受益から外され
残された配偶者も預貯金などを相続しやすくなるということになります。
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