成年後見制度の課題

成年後見制度には、大きく3つの課題があると言われています。

 

①資産凍結

②家族以外の介入

③報酬

 

成年後見制度では、本人の資産を家族のために使ったり、贈与するなどの行為が

一切禁じられます。

子供のために住宅資金を贈与したり、孫のために結婚資金を出してやったりと、

どこの家庭でも行われるようなことが全くできなくなります。

 

ましてや、相続税の節税対策や自己資金拡充のための資産運用など、

成年後見制度の中ではあり得ない話です。

 

また、成年後見人は裁判所が職権で選任しますが、

最近は家族が選ばれるケースよりも

司法書士、弁護士などの第三者が選任されるケースが多いようです。

 

誰が選ばれても不正はある一定の割合で起こりうるのですが、

配偶者や子、兄弟姉妹などは、相続財産隠しなど、

より不正をする確率が高いということなのでしょう。

 

そして、成年後見人に対する報酬は裁判所が決定するのですが、

その報酬はご本人の資力に応じて決められます。

一度決められた報酬は、原則、ご本人が亡くなるまで続きますので

累計するとかなりの金額になります。

 

相場は月額3万~5万円前後が多いようですが、年間だいたい50万前後として

10年だと500万、20年だと1,000万もの金額になります。

 

親の財産管理を第三者に仕切られ、尚且つ報酬まで取られるとなると

制度の利用を躊躇するのも理解できます。

 

それに代わる新しい制度として家族信託があるのですが、

ひとつ如何ともしがたい点があります。

 

それは、ご本人が認知症などになってしまってからでは家族信託を利用できないという点です。

成年後見制度は、本人が認知症などになってから制度を利用するかどうか決めればよいのですが、

家族信託は、あらかじめ信託契約を結んでおく必要があるということになります。

 

なにごとも、事前準備が大切ということですね。