相続時精算課税制度

相続時精算課税制度をご存知でしょうか。

 

60歳以上の父母もしくは祖父母から20歳以上の子、孫への生前贈与について、

2,500万円までは贈与税が免除されるというものです。

 

贈与税が免除されると聞くと、なんだかとっても良い制度のように聞こえますよね。

 

早いうちに大きな金額を贈与できますので、

子や孫が若いうちにまとまったお金を得ることになります。

住宅を買ったり、事業を始めたり、何かに投資をしたりと、有効活用することで、

贈与した側にもどう使われたのかが見えることは良いことかもしれません。

 

ただ、この制度を一度使ってしまうと、暦年課税へ戻ることができなくなってしまいます。

毎年110万円までの贈与は税金がかからないというルールが適用されなくなるのです。

まあ、毎年110万円づつ贈与しても2,500万円に達するには20年以上かかりますので

それは良しとしましょう。

 

もう一つ、注意しておかなければならないことがあります。

それは、相続税は課税されるということです。

 

60歳のお父さまから、この制度を使って2,500万円分の上場株式の贈与を受けたとしましょう。

20年後、お父さまが亡くなったとき、この2,500万円には相続税が課税されます。

 

まあ、これもいたしかたない話としてあきらめましょうか。

子や孫からしてみれば、相続まで待たずして財産を譲り受け自由に使うことができたわけですから。

ただし、ネガティブなこともあります。

お父さまから2,500万円で譲り受けた上場株式が、お父さまが亡くなったとき2,000万円に

値下がりしていたとしましょう。

相続税の計算ですから、お父さまが亡くなったときの2,000万円で計算されるかと思いきや、

贈与を受けた時の2,500万円で計算しなければならないのです。

 

値上がりしてれば良いのですが、値下がりした場合でも、もとの価格で評価されてしまうのです。

 

経済が好調で物価が上がっている局面ではよいのですが、

経済が停滞しデフレ傾向が続くと、厳しいことになるかもしれませんね。