不動産を使った相続税対策に一石を投じる裁決が出されました。
①現金で不動産を購入 → 相続税路線価で評価
②購入した物件は賃貸物件 → 土地は貸家建地として評価
③更に小規模宅地等特例を適用
④現金は銀行からの借入金
被相続人が亡くなる3年ほど前に借り入れを起こして不動産を購入。
相続発生後、ただちに不動産を売却。
よく聞く話ですが、税務署はこれを認めず更正処分と過少申告加算税を課してきたのです。
相続人はこれを不服として国税不服審判所に訴えをおこしましたが、
審判所も税務署の決定を支持したというものです。
どうしてこんなことになったのでしょうか。
どうやら、この一連の不動産の購入売却が、あからさまな相続税対策であると
税務署に判断されてしまったからのようです。
国税庁から出されている財産評価基本通達の中に、時価と相続税評価額との差異が大きいものは
国税庁長官の指示のもと個別の方法で評価できるとあります。
今回はこの個別の方法で判断されたということです。
専門家の多くの見解は、「あまりにも露骨すぎた」ということです。
ひとつは、相続後すぐに物件を売却していること。
また、銀行の融資の稟議書に融資の目的が「相続対策のため」と明記されてしまっていること。
さらに、相続の4年前に孫と養子縁組を行い、相続人を増やしていること。
これらのことが重なり、明らかに相続税を逃れるために不動産を取得したとして
今回の処分になったものと思われます。
国税不服審判所の裁決は裁判所の判決とは違いますので多少緩いところはありますが、
相続人がこれを不服として裁判所に訴えを起こすこともありえます。
事の次第をウオッチしていく必要がありそうです。
ただ、この一連の流れで不動産を使った相続税対策が無効になるかと言えば違うと思います。
小手先の節税テクニックに踊らされることなく、不動産賃貸に業として取り組み、
結果として相続税の軽減につながったということであれば何ら問題ないと考えます。
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