相続は、被相続人が死亡した時点もしくは死亡を知った時点から自動的に開始されます。
そうです、勝手にスタートしてしまうのです。
その瞬間から、相続税の申告期限である10か月間のカウントダウンが始まります。
遺言書があって、その通りに遺産分割する場合や、
法定相続分通りにキッチリ分割する場合はさほど問題にならないのですが、
不動産などは売却して現金化しない限り、なかなかキレイに分割するのは難しいかもしれません。
そんな時、玉虫色の解決策として共有という方法があります。
たとえば、実家を兄弟姉妹の共有にする、
親が持っていたアパートを兄弟姉妹の共有にする、いう具合です。
実家に長男夫婦が住むとなれば、長男は他の兄弟姉妹に多少の家賃を払うことになるでしょう。
アパートから入ってくる収入は、兄弟姉妹で均等に分けることになるでしょう。
ここまでは平和です。
共有開始から数年後、兄弟姉妹間でも足並みが揃わなくなるものです。
古くなってきたアパートをそろそろ売却しようと言い出す次男、
リフォームすればまだまだ貸せると言う長男、
両親の想いがつまったアパートだからとにかく売りたくないという長女、
無関心な次女と立場は様々、態度も様々です。
次男はどうしてもお金が欲しい事情もあり、何としてもアパートを売りたい。
でも反対の兄弟姉妹もいる。
このような場合、次男は家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることになります。
調停でも話がまとまらないとなると、家庭裁判所での遺産分割審判ということになります。
審判では法定相続分と異なる内容の審判をすることはできないと決まっていますので、
結局、アパートを売却するか、他の兄弟姉妹が次男の持ち分を買い取り、
次男に相続分に応じたお金を渡すということになります。
遺産分割調停は、時間やお金がかかるだけではなく、
兄弟姉妹の人間関係を壊してしまう可能性があります。
このようなことにならないようにするためにも、不動産が共有とならないよう、
遺言書や家族信託によって、あらかじめ不動産の行方を決めておく必要がありそうですね。
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