相続税圧縮の落とし穴

保険を使った相続税対策の一つに、契約後数年間、解約返戻金が低い「逓増定期保険」を使ったものがあります。

確かに、ひとつの相続税対策ではありますが、気をつけておかなければならないことがあります。

 

契約者をお父さま、被保険者を子供であるあなた、保険金受取人をお父さまとした逓増定期保険に加入したとしましょう。

当初、数年間(たとえば5年間)は解約返戻金が0~20%程度の保険です。

 

数年後、お父さまが4年目に亡くなり保険契約の権利を子供であるあなたが相続したとしましょう。

相続時の保険契約の権利は、そのときの解約返戻金相当額で評価されます。

 

<イメージ>

      累計保険料      解約返戻金

1年目    200万円         0万円

2年目    400万円          15万円

3年目    600万円          50万円

4年目    800万円        100万円

5年目    1,000万円        900万円

6年目    1,200万円        1,190万円

 

お父さまが亡くなった時(4年目)、800万円の保険料を支払済です。

この時点での解約返戻金は100万円ですので、800万円が100万円と評価されることになります。

 

相続財産を700万円圧縮したことになりますので、仮に相続税率が30%だったとしたら210万円の

相続税圧縮になります。

 

その後、5年目、6年目と保険料を支払い、6年目に解約をしたとすると、

累計保険料1,200万円に対して1,190万円の解約返戻金を受け取ることができます。

 

その差10万円。10万円の出費で210万円の相続税を圧縮できたことになりますので、

200万円得した気分ですね。

 

ところがです!

 

受け取った解約返戻金の1,190万円には一時所得として所得税、住民税か課税されるのです。

仮に税率20%の人だとすると、200万円超の税金が課税されます。

 

確かに相続税は200万円圧縮できましたが、所得税で200万円課税されてしまったら、

もともこもないですね。

 

このようなことが無いように、相続税対策は先の先まで俯瞰して判断したいものです。